植物病原菌と宿主植物の相互関係がいつの時代に発祥したかについては、興味のあるところです。1980年代に、タバコ属植物の一種のキダチタバコの染色体DNAにRiプラスミドT-DNAと非常にホモロジーが高い塩基配列(cellular T-DNA: cT-DNA)が存在することが報告されてました。しかし、これまで、この配列の起源を証明する報告はありませんでした。ところが、研究を遂行していく中で、我々が使用している日本産
A. rhizogenes のRi プラスミドpRi1724 T-DNAがcT-DNAの起源であることが明らかとしました。
- cT-DNAとpRi1724 T-DNAの相同性は、pRi1724 T-DNAの境界領域から消失していること、Riプラスミドの分類指標とされるオピン合成酵素(ミキモピン合成酵素)のホモログがcT-DNAに存在し、実際に大腸菌でその機能を持つこと、から、cT-DNAの起源がpRi1724に類似したミキモピン型Riプラスミドであることに疑いはない(図 cT-DNA)。
- cT-DNAはキダチタバコ以外にも少なくとも5種のタバコ属植物ゲノムに存在することが報告されており、タバコ属植物の進化の途上で起こったDNAの水平伝搬といえる。今後は、このT-DNAがタバコ属植物の進化に与えた影響を推定していく予定である。
なお、本研究に関する成果は以下の通りです。
- A. 報文
- Suzuki, K., Yamashita, I. and Tanaka, N. (2002) Tobacco plants were transformed by Agrobacterium rhizogenes infection during their evolution. Plant J. 32: 775-787. link to PubMed
- B. 著書、総説、解説
- 田中伸和 (1997) RiプラスミドT-DNAの挿入を受けたタバコ属植物−植物病原細菌と宿主の進化を辿れるか− 化学と生物 35 : 405-407.
発根バクテリアを使って植物の根を改良する
Agrobacterium rhizogenes 感染による発根機能を明らかにする
植物改良へのアプローチ
その他の研究